幸彩の言の葉部屋

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思ったことを気の向くまま指先が趣くままに綴った駄文集

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恥とステーキとよもやま話

今回は久しぶりに3000文字チャレンジの記事でございます。

この前も書いてたのに久しぶり?
はい、端からお題に沿って書くのは久しぶりです。
(この前のは後づけだから)


今回のお題は【ステーキ】だそうです。

何か似たようなお題があったような‥‥
って、思ったら第一回目のお題が【ハンバーグ】でした。
(企画の存在を知らなかったので参加してない)

私がよく食べるのは【ビーフハンバーグステーキ】なので、ハンバーグとステーキは似たような物なんですよ。


「全然違うだろ!」
↑↑↑
中の人1号(企画の発案者で初代の主催者→途中で主催者の座を降りTwitter界からトンズラした某ホルモン焼き屋の店主)と2号(現在の主催者→健気にも主催者の座を引き継いだ正体を明かさない謎の人物)の声が聞こえてきそうです。

なので、ウィキペディアで調べてきました。

『ステーキとは、厚切りにした肉などを焼いた料理』

『ハンバーグとは、ドイツ発祥の肉料理で正式名称はハンバーグステーキ。主に挽肉とみじん切りにした野菜にパン粉を混ぜ、塩を加えて肉の粘性を出し卵を繋ぎとしてフライパン(場合によってはオーブンなどを併用)で加熱して固めたもの』

なるほど‥‥
肉を食べることに違いはないけど、肉そのまんまか、肉をミンチにして繋ぎを使っているか、の違いがありますね。
(かなりアバウト)

分かったところで、ステーキにまつわるエピソードを頭の引き出しから引っ張り出してきました。

実は、私、あまり本格的なステーキを食べたことがないんですよ。初めて食べたのは20歳になってからですし、回数を数えると片手で足ります。それくらいステーキには縁がありませんので、エピソードと言ってもたかが知れてます。


例えば、某ファミレスで食べたサーロインステーキがゴムみたいに固かった件とか‥‥

ナイフで切っていても、お肉よりも先に息が切れるほど固く、噛んでも噛みきれないような感じで飲み込むのに一苦労しました。手と顎の疲労感が尋常じゃなかったので「二度とファミレスでステーキを食べるもんか!」と心の中で叫んでました。


それから、沖縄のステーキレストランチェーン店に行った時とか‥‥

シェフが目の前でパフォーマンスを繰り広げながら肉を焼いてくれたので、焼き上がりまでの時間も楽しめました。料理とシェフのパフォーマンス、何方が主役なんだろ?って思いました。


それに、婚活中に某ステーキ専門店に行った時とか‥‥

誘ってくれた男性とカウンター席に並んで座っていたのですが、全く話が弾まずシェフが鉄板の上で肉を焼いているのを眺めていました。
(この話は、気が向いたら別の機会に書くことにしよう)


そして、ステーキ初体験の時とか‥‥

新婚旅行でハワイに行った時の夕食でのことです。その日の夕食は【バズズ・オリジナル・ステーキハウス】でディナーでした。

入口でクーポン券を渡すと、初々しそうな日本人カップルばかりが座っている一角に案内されました。

――新婚旅行者専用ブース?

店員にエスコートされ着席し、差し向かいに座った元夫の様子を窺ってみると、物珍しそうに店内をぐるりと見渡していました。

そこへ、店員がテーブルの側にやってきました。肉の焼き加減の希望を聞きにきたのですが、元夫は平然とした顔で「強」と答えていました。
(元夫は、英語がからっきしダメ)

――強って‥‥
日本じゃないんだから‥‥

思った通り店員は困惑しており、キョトンとしている元夫の代わりに「ウェルダン」と答えると、店員は苦笑しながらテーブルから離れていきました。

――ミディアムで良かったのかな?
(今ではミディアムかミディアムレアが主流かもしれないが、当時はウェルダンが安全だと言われていた)

次にワインのテイスティングが始まりました。元夫は頷きながらグラスを受け取り一口飲んだ後「OK」と一言発しました。

――この人、ワインの味とか知ってんのかしら?
(元夫はアルコール類に疎いし酒に弱い)

にこやかな表情で見守る店員を前に、元夫は残りを飲み干した後、ほんの一瞬、んべっと舌を出しました。
(幼児が嫌いな食べ物を吐き出すような感じ)

店員は意味深な笑みを浮かべながら私の顔をチラリと見た後、ワインのボトルを置きテーブルの側から立ち去りました。店員には、元夫がワインの味が分からないことと英語が理解出来ていないことがお見通しのようでした。


暫くの待ち時間の後、焼き上がったステーキが運ばれてきました。

――うわあぁっ!美味しそう!

生まれて初めてのステーキとの対面でした。涎が出そうになるのを必死に堪え、ソース等の説明に耳を傾けた後ナイフとフォークを手に取りました。

『さぁ、食べよう』左手に持ったフォークで肉を押さえ、右手に持ったナイフで切り込みを入れようとした時、フォークが左手から滑り落ちてしまいました。

――あっちゃあ‥‥
こんな時、何て言うんだっけ‥‥
(これでも中学の時は英語クラブの部長だった)

「I dropped my fork. Can you bring me another one, please?」
こう言えば良かったのですが、初めての海外旅行で初めてのステーキ、しかも、日本語が通用しない店員ばかりの店、テンパってしまった私の口から飛び出た言葉は「ニュー、フォーク、プリーズ」でした。

――いやいやいや‥‥
「ニュー、フォーク、プリーズ」は違うでしょ‥‥
私ゃルー大柴か!

自分で自分にツッコミを入れていた時、店員が振り返って元夫と私の顔を見比べ、頬を膨らませたかと思うと口元に手を当て背を向けました。店員はやや俯き気味になり身体をぷるぷると震わせながら、くるりと身体の向きを変えテーブルから離れていきました。

――怒らせちゃったかな‥‥?

戸惑っていると、フォークを手にした店員が戻ってきました。フォークを受け取り、店員にお礼を言ったつもりでしたが、口から出たのは「サンキョー!」でした。

――「サンキョー」って何だよ「サンキョー」って‥‥
それを言うなら「センキュー!」だろうが!

再びセルフツッコミを入れていると、店員はガクッと項垂れ、先ほどと同じように身体をぷるぷると震わせました。

――やっぱり、怒ってるよねぇ‥‥

不安に思いながら店員の様子を見守っていると、微かに「クククッ」と声が聞こえました。

――え?もしかして笑ってる?

改めて見てみると、店員はお盆を持っていないほうの手で自身の太ももを抓っており、必死で笑いを堪えているのだと分かりました。

――やっぱり‥‥
あ~、めちゃくちゃ恥ずかしい‥‥
でも「旅の恥は掻き捨て」って言うし、ま、いっか‥‥

店員は顔を引き攣らせながらも「Please enjoy your meal!」と言い残し、早足でテーブルから離れていきました。

――気を遣わせちゃって、すんませんね‥‥

ハプニングに見舞われましたが、初めて食べたステーキはとても美味しかったです。
(ワインは飲みなれていなかったので、美味しいとは思えなかった)


書き出してみると、やっぱり片手で足りますね。
それだけ、私にとってステーキは敷居が高いっていうか高嶺の花なんです。
(どんだけ貧乏くせぇんだよって話)


あ‥‥もう1つありました!

ツレこと相棒=内縁の夫と一緒に暮らしていた頃の話です。

ツレが草野球仲間と飲み会に出掛けた日の夜、リビングのソファーに凭れながら、バラエティ番組を見ていました。その時、ふわっと香ばしい匂いが隣から漂ってきました。

――あ‥‥、焼き肉か何かの匂いだ‥‥

隣を見ると、いつの間にか帰ってきていたツレが、ウーロン茶を片手にサイコロステーキをもぐもぐと食べていました。

「あー!私も食べたい」

ねだるようにツレに飛びつくと、ツレはサイコロステーキをぷにぷにと唇に擦り付け、私が口を開けて食べようすると、ひょいと引っ込め自分で食べてしまいました。

「意地悪ぅ~」

涙目になって睨みつけると、またしてもサイコロステーキを唇に擦り付けてきました。

――むうっ!今度こそ食べてやる!

ツレの手を掴み、口を開けパクッとサイコロステーキを咥えました。肉片は思いのほか大きく口の中に収まりきらずスルリと抜け出しそうになり、慌てて口を閉じて肉片に歯を立てました。

直後「んぐっ」と声とも音ともつかないものが聞こえたと同時に、肉片が口の中から出ていきました。

次いで「っ痛え‥‥」ツレのうめき声が聞こえてきました。

――え?痛い?

何事かと思った時、自分がリビングではなく寝室のベッドの上にいることに気付きました。

「あれ?お肉は?」

「何、寝惚けてんだよ」

サイコロステーキは何処にもなく、焼肉臭をまとったツレが恨めしそうな表情で、私の顔を覗き込んでおりました。

――え?


3000文字ステーキ・完