幸彩の言の葉部屋

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思ったことを気の向くまま指先が趣くままに綴った駄文集

幸彩の言の葉部屋

みかんが残してくれた教訓

うわあああぁぁぁぁぁーーーっ!
今年初のショックかも…

何がショックかって、せっせとメモ帳アプリに書いてたブログの下書きが、一瞬で、きれいサッパリ消えてしまったこと。
書いてたのはTwitter企画の3000文字みかん。しかも完成してたんだよぉぉーっ!
こんなショックなことってある?

注ぎ込んだ労力と時間を返せーっ!
このタブレットのバッカヤロー!


タブレット
「おやおや、ご自分の操作ミスを棚に上げて、僕を愚弄するとは頂けたませんねぇ。実に嘆かわしい」

 私:
「出たな。このインテリかぶれ野郎。大体、アンタが忖度しないのが悪いんでしょうが」

 タブレット
「あいにくと忖度というものは、僕のプログラムには組み込まれておりません。僕の役目はご使用者様の操作に忠実に従うことでございます」

 私:
「これだから機械っていうものは厄介なんだよ。融通が利かないったら、ありゃしない」

 タブレット
「で?」

 私:
「で?って何よ」

 タブレット
「何を書かれていたんですか?」

 私:
「アンタ、全く覚えてないの?」

 タブレット
「ホームボタンをタップする前に、戻るボタンをタップされたので、内容は全て消去致しました」

 私:
「消去する前に私に確認しなさいよ」

 タブレット
「そういうプログラ厶は組み込まれておりません」

 私:
「使えねぇヤツ」

 タブレット
「僕が使えない存在なのではなく、君が僕を使いこなせていないだけです」

 私:
「うっさいわ!」

 

タブレットを目の前に、私の頭の中では、こんな寸劇が繰り広げられてた。

気を取り直して、書くとしよう。うん。と、思ったは良いけど、冷静になったら構図が頭ん中からすっぽり抜けてる。勢いって大事だよねぇ。

「ブログは萎える前に書け」だね。そうじゃないと生まれる物も生まれない。

 

えっと、何の話だっけ?
あぁ、そうそう、みかんね。

じゃあ、本題にいきますか…。(前置き、長ぇよ)


あれは確か小学4年生の時。季節は冬。

風邪をひいて喉が痛かった私は『特効薬みかん』を作ろうとしていた。特効薬みかんというのは、私が勝手に命名したもので正式名称は知らない。そもそも、そういう調理方法や食べ方が存在するのかも知らないのだ。


さてと、この辺で、特効薬みかんの作り方の説明でもするとしよう。

先ず、みかんをキレイに洗って皮を剥かずに横方向に半分に切る。ヘタだか何だか名前は知らないけど、河童の頭の皿みたいなボッチの部分は取り除いておく。

小鍋(妥当なのは16センチの鍋)に半分に切ったみかんを入れる。

小鍋にみかんが完全に浸かる位の量の水を入れ、沸騰させる。沸騰したらお好みの分量の砂糖を入れ、弱火でことこと煮る。

汁が薄いオレンジ色になったら完成。

出来上がったら、煮上がったみかんを煮汁と一緒に、皮ごと食べる。


味は、例えるなら、みかんの缶詰めの出来損ないみたいな感じ。美味しいと思うかは人それぞれ。


この特効薬みかんを食べると、不思議なことに喉の痛みが治まるのだ。チャレンジ精神がある人は試してみては如何だろうか。但し、喉の痛みが治るという保証はしない。しかし、重篤なアレルギーを持っていない限り、食べても死にはしないのでご心配は無用。


この特効薬みかんを初めて食べたのは、保育園児の時だったと思う。乳児の時から喉が弱かった私は、風邪をひくと真っ先に喉をやられて、痛みが引くのに相当な時間が掛かった。トローチを舐めても、浅田飴の水飴を舐めても、吸入をしても、喉に薬を直接塗っても、中々、喉の痛みが治まらなかったものだ。

喉の痛みのせいで、飲み込みが出来ず、満足に食事をとることが出来ず、体力が低下していく私を見て、母が作ってくれたのが特効薬みかんである。おそらく考案者は母ではない。誰かに聞いたのだろう。柔らかく煮上がったみかんは、すんなりと喉を通り、喉の痛みも引いていった。それからは、風邪をひくと定番のように特効薬みかんを食べていた。


ここで、特効薬みかんを作っていた時のところまで、話を戻そう。

小鍋にみかんと水を入れ、ガスコンロの火にかけ沸騰させ砂糖を入れた時、リビングからアニメのオープニングテーマ曲が流れてきた。4歳年下の弟がテレビのスイッチを入れたのだ。

小学生にとって、アニメの魅力度はスペシャル級である。
例えるなら、猫の前にマタタビドラえもんの前にどら焼き、フェニックスの前に生娘、それどころか、毛利蘭の前に工藤新一が現れたようなもの。もう少し分かりやすく言えば、目の前で、米津玄師が生でコンサートを始めたようなもの。

食いつかない道理は無い。

私はコンロの火を消さず、引き寄せられるようにリビングに行き、弟と一緒にテレビを見始めた。アニメの放送時間は延べ30分。それが2本放送されるのだから、ゆうに1時間はガスコンロの側から離れることになる。しかし、アニメを見始めた時点で、私は火にかけた小鍋のことをすっかり忘れてしまっていたのだ。

今だったら、コンロに過熱防止機能が付いているのだが、当時はそんなハイテク機能は付いていなかった。鍋の温度が必要以上に上昇しようが、鍋の中味が沸騰して蒸発しようが、空焚きであろうが、ガスコンロの火はお構いなしに鍋を加熱し続けるのだ。勿論、鍋が焦げても一切手加減なしに加熱するのである。

キッチンで、ガスコンロの火の情け容赦ない加熱攻撃が繰り出されているとは露知らず、私はアニメに見入っていた。見入っていたにもかかわらず、何のアニメだったか全く覚えていない。

 

アニメを見終わった時・・・

弟の「何か変な臭いがする」という言葉で、ようやく小鍋のことを思い出した。

しまった…。

慌ててキッチンに戻ってみると、床上50センチくらいのところまで、煙幕が張られたように真っ白になっていた。恐る恐るガスコンロに近付き火を消し、鍋つかみで小鍋の蓋を開けてみた。そこには見るも無残な姿に成り果てたみかんがあった。真っ黒な炭と化したみかんを箸で突いてみると手応えがない。水分が蒸発して煤になってしまっていた。

 

鍋を焦がしてしまったことで、さぞかし母親に怒られるだろうとビクビクした。

 

母親が帰宅して、ことの顛末を話すと・・・
心配そうな表情で「火傷しなかった?」と、私の両手を掴んだ。

 

私:
「怒らないの?」

 母:
「鍋は買い替えることが出来るけど、幸の手は取り替えることが出来ないからね。何ともなくて良かった」

母のこの言葉は、怒られるよりも胸に沁みた。わあわあ泣きながら母に抱きついた。

 私:
「ごめんなさい」

 母:
「今度から気をつけるんだよ。良い勉強になったね」

私が落ち着くと、母が特効薬みかんを作ってくれた。

こんな風に、私は、とんでもない事をやらかしたのである。みかん農家さんには、申し訳ないことをしたもんだと思う。

 

焦げた鍋はというと・・・

みかんを入れてあったネットで、ゴシゴシ擦ってみたものの、焦げを落とすことは出来なかった。そして、その鍋は「教訓鍋」と命名され、今でも現役として活躍している。


タブレット
「ほほう。そんなことが」

 私:
「アンタ、また出て来たの」

 タブレット
「しかし、君のおっちょこちょいは、今に始まったことじゃなかったんですねぇ」

 私:
「相変わらずの減らず口だね。いったい、誰に似たんだか…」

 タブレット
「それは紛れもなく、使用者である君でしょう」

 私:
「ほんっと、ムカつく…」

 

Twitter企画
3000文字みかん(完)

※PS
私はみかんよりも、デコポンが好き。